ショパンは難しい。
テクニックもそうですが、装飾音の弾き方もそのひとつです。たとえば、有名な「ノクターン第2番 Op.9-2)」を例にあげましょう。
画像の上がヘンレ版、下がエキエル版の13小節めです。同じ曲なのに、版によって違うので、ショパンの楽譜選びは難しいのです。エキエル版の赤い丸をつけたところをご覧いただくとわかるように「装飾音は先に弾くのではなく、拍と同時に弾く」ように指示されています。
なぜ、そう弾くのでしょうか。
ショパンはバロック音楽が好きでした。バロック時代の装飾音は拍と同時に演奏されることがほとんどで、ショパンはその影響を受けたといわれています。それで、装飾音は「拍の前にはない」のです。
パデレフスキ版のあとがき「この版の特徴について」にも、こう書かれています。
「最後に指摘しておきたいことは、前打音、ターン、トリル、アルペッジョなどのすべての装飾音は、古典的規範に従って演奏すべきだ、ということである。」
「古典的規範」つまり、さきほど述べたとおり、「拍と同時に弾く」ことを意味しています。
装飾音の弾き方で、まるで音楽が変わるのも、ピアノの楽しみです。

