ピアノの手のフォームを学ぶとき、「ハイフィンガー奏法」や「重力奏法」といったワードを耳にした方もいらっしゃることでしょう。今日はピアノ奏法についてお話したいと思います。
「ハイフィンガー奏法」というのは、その名のとおり、「指(フィンガー)を高く上げて(ハイ)、下して鍵盤を叩く」というものです。手首は動かさず、固定して、指の形を丸くして(卵の形にして)弾きます。それに対して、「重力奏法」は、「手首を柔軟に動かす、あるいは回す(旋回する)」という表現で教わると思います。腕や上半身の重さをかけて弾きます。
なぜ、いろんな奏法があるかといえば、「ピアノの進化」が要因です。ピアノの進化についてお話すると、すごく長くなってしまうので、ここでは省略しますが、ピアノは、1709年にクリストフォリによって発明されてから今の形になるまで、ずいぶん変わり、「ハンマーアクション」とともに鍵盤が重くなりました。
そのため、チェンバロのように軽い鍵盤のときは、指だけで弾く「ハイフィンガー奏法」で問題はなかったのですが、鍵盤が重くなると、その弾き方では指を故障しやすいなど、無理が出てきました。そこで「重力奏法」が生まれたのです。リストは重力奏法で演奏したピアニストだったともいわれています(当時はまだ「重力奏法」という用語はなかったと思いますが)。
日本に西洋音楽が入ってきたのは明治時代です。ドイツがお手本となりました。その当時、日本人が学んだ奏法が「ハイフィンガー奏法」でした。それから時代は変わり、今は日本でも「重力奏法」を教える先生が増えています。
「ピアノは背中で弾く」という表現を見たことがあるかもしれませんが、ピアノは指先だけでなく、手首、腕、肩、肩甲骨など、体全体を使って弾く、ということを意味したものです。それにより「脱力」ができるようになり、奥行きのある音が生まれます。

