神秘的な、ファンタジーのような結末?!ショパン「幻想即興曲」

ショパン「幻想即興曲」

ショパンの「幻想即興曲」については、一度にブログに書き切れないので、分けて書いています。

 

タイトルにあるように、この曲の特長のひとつは最後の和音です。

幻想即興曲は嬰ハ短調なのですが、最後の和音に違和感のような、安堵感のようなものを感じる人は多いと思います。

 

これは、「ピカルディ終止」と呼ばれるものです。

 

「ピカルディ終止」なんて聞いたことがない!という方もおられると思いますので、簡単に説明しますと、

 

「短調の楽曲の最後が、同主調の長調の主和音で終わること」です。

 

バロック音楽で多用され、バッハの曲にも多くみられます。当時の音楽は、宗教と密接な関係で、神聖なものでした。短調の和音は不安定な気持ちにさせるので、音楽のなかで使う場が制限されました。

 

ピカルディ終止は、短調の曲であっても最後は明るい響きで終わるので、暗い気分で終わらず、救われたような、安心感のなかで終わる効果があります。

 

ショパンは、バッハの曲を愛したことから、ピカルディ終止で終わる曲を多く作りました。夜想曲第20番(遺作)やエチュード「革命」、幻想即興曲もそのひとつです。

 

Wikipediaには、面白いことが書かれていました。

 

「(「幻想即興曲」の最後は)静かで神秘的な方法で、曖昧なファンタジーのようなエンディングです。左手がモデラート部のメロディを再現し、右手は16分音符を弾き続け、そして、ピカルディ終止の嬰ハ長調の転回和音で穏やかに解決し、終わります。」

 

タイトルの「幻想」をつけたのはショパンではなく、フォンタナだとされます。もとは「即興曲」とだけ記されていました。

 

ショパン研究家のヤン・エキエルによると、フォンタナとショパンの姉ルドヴィカの二人のやりとりで、「幻想曲」と書かれていた、と述べています。(題名のない作品のための呼び名だったとも。)

 

それにしても、「幻想」(ファンタジー)という言葉は、世界中の人を魅了する言葉ですね。